福岡の酢蔵、酒蔵見学

2月10日、元田さんと福岡の酢蔵1軒と酒蔵2軒を見学した。大川市の庄分酢と八女市の喜多屋、高橋商店。

庄分酢(案内 本社工場長:福山さん)
創業300年。店のある建物は重要文化財。昔ながらの静置発酵で出来上がりまで3ヶ月くらい。ナチュラル・ハーモニーが「蔵の酢」の製造をここに頼んでいる。「蔵の酢」は通常は黒酢(玄米)で使われるカメ貯蔵。麹はマルカワ味噌から、米は自然栽培、水は井戸水。自然栽培のお米を使うと発酵のしやすさなど感じるところがあるかと聞いたところ、特に分からないとの答えだった。酢酸菌の扱いが難しいとのこと。アルコール発酵のための酵母は冷凍保存できるが、酢酸菌はできないらしい。結果的に、絶え間なく酢を作る事で常に酢酸菌がいる状態にする。アルコール発酵には冬場の低温が適し、酢酸発酵には気温が高い方が適する。夏場にどうやってアルコール発酵させるのかが疑問だったのだが、アルコール発酵が必要な純米酢などは冬場にしか仕込まない。気温が上がる夏場などは、アルコールを買って来てから酢酸発酵のみを行う安い酢の醸造をするとのことだった。なるほど、こうすれば季節に逆らう事なく酢酸菌を維持できる。安いアルコール醸造酢にも役目があるというのが発見だった。種酢は20%ほど添加。酢酸発酵初期から酸性に振る事で雑菌の繁殖を抑える。自家製お酢の作り方などでは、種酢をアルコールと同量添加すると書いてあったりする。20%しか添加しないで酢酸発酵させるところにプロの技術や酢酸発酵に適した蔵の力を感じた。純米酢の原料はヒノヒカリ。精米は白米程度(黒酢は玄米)。酢酸発酵させる蔵にも菌が付着しており、例えば本社工場で1日できれいに菌膜が張るところが、新しい工場では10日もかかったりするらしい。酢蔵が少ないのは、酢酸発酵の難しさにあるようだ。

喜多屋(案内 営業部:田中さん)
創業180年。従業員60名。一升瓶換算で清酒40万本、焼酎40万本、料理用80万本。九州ではトップクラスの製造量で、特に純米酒などの高品質酒のシェアは高い。日本酒の消費量は1980年くらいのピークから1/3になってしまったが、高品質酒の減少は比較的軽微。純米酒や吟醸酒を作れる小規模メーカーと、安い酒を大量生産する大規模メーカーしか生き残れない構図がますます顕著になるだろう。喜多屋は精米設備はない。サーマルタンクという発酵タンクごとに温度管理できる機械と、充填作業後に冷却したり加熱したりするパストライザーという機械が自慢。高品質酒は、栓打ち前に加熱すると香りがとぶ。だから栓打ちしてから加熱して、すぐ冷ます。逆に一般酒は加熱してから栓打ち。でもそのまま自然冷却させると味は落ちるからパストライザーで水をかけて一気に冷やす。大型機械を入れないと味が保てないのだとしたら、小規模メーカーはますます厳しい。農業機械を入れないと生き残れない農家の構造とだぶって見えた。機械を入れる結果として、酒蔵も農家も付加価値を自分の技術から機械メーカーへと移転してしまう。種麹は購入。酵母は自社酵母を冷凍保存。純米酒は冬のみの仕込み。夏場は料理用酒やみりん、焼酎の仕込みをすることで年間を通した稼働を維持しているようだ。山田錦は糸島産と兵庫産が少々。なぜ山田錦ばかりが注目されるか疑問だが、それほどいい酒米だということらしい。

高橋商店(案内 工場長、杜氏:池松さん)
創業300年。従業員約30名、うち製造は10数名。こちらは高品質酒に特化しており、高品質酒のシェアでは九州でもトップクラス。こちらは通年稼働はせず、酒造に適さない夏場は機械のメンテなどにあてるらしい。忙しいはずの冬場に杜氏自らの案内に恐縮してしまう。18歳から酒造り50年の大ベテラン。仕込みは夜明けから始まるらしく、訪問した午後は既に片付けと明日の準備が始まっていた。仕込みを見たい場合は、午前4−6時くらいに見学しましょう。明け方に仕込む理由は、蒸米をできるだけ早く冷却するため。高橋商店は11−4月まで、製造現場の人は基本的に家に帰らないらしい。通勤するのではなく酒造りに合わせた生活をして欲しいから。実際に、酒蔵の片隅に食事用のテーブルがあった。大量生産の喜多屋と比較すると少数精鋭というか、高橋商店はこだわり集団という雰囲気。蒸米なども、喜多屋は大掛かりな連続蒸米設備があったが、高橋商店は蒸籠のみ。精米設備は自社。種麹は購入。酵母は自社で冷凍保存。原料の山田錦は糸島産と兵庫産が少々。なぜ山田錦ばかりが注目されるか疑問だが、それほどいい酒米だということらしい。トップクラスの酒に至っては、山田錦を35%まで磨き、さらに最後の絞りでは圧力をかけないために酒醪の40%が酒に、60%が酒粕に。なんとも贅沢というか、もったいないお酒です。精米で出る米の粉は、一部肥料、一部は製菓原料、一部は米焼酎原料などに回る。原料に「米」と書いてあっても、普段見慣れた米粒の状態で使われているとはどこにも書いてないな、と改めて考え直しました。

大変勉強になりました。
ありがとうございました!

広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中